母と仲良しの近所のおばちゃんが訪ねてきて
「三回目のワクチンは二回目が去年7月だったから3月がいいのかしらね?」
コロナウイルスワクチンの接種間隔は8ヶ月以上みたいな事を気にしている様子だった。
昨年、母は急性心不全で入院したのだが退院後、入院先の病院から封書が届き
1回目(6月下旬)、2回目(7月上旬)共に
その病院でワクチン接種を済ませている。
そして今年1月三回目接種(2月下旬)の希望を尋ねる封書が届いている。
おばちゃんの言う通りワクチン接種間隔8ヶ月なら
母も3月上旬に日時設定された封書が届くはずであるが
8ヶ月以内に設定されているので
「あまりこだわらなくても大丈夫なのでは?」
と答えた。
おばちゃんはかかりつけに電話してみると言いつつ
「どこにも出かけないし、いつ死んでもいいからうたなくてもいいように思うんだけどね」
と言うので
「うっておかないといざ病院へ行った時に診察を断られるかもしれませんよと
言っておいたw
「早くお父さんのところへゆきたい」
先日そんな事を言っていた母だが
「だよ〜ちゃんとしておいた方がいいよ〜」
と追ってアドバイスw
生きてゆく事に弱気な言葉を発したとしても
ひどく胸が苦しくなれば苦しさをとって欲しいともがくのだ。
昨年の5月だ。
22時半過ぎに母から着信があった
「どうしたの?」
電話の向こうの母はひどく苦しんでいる様子で
絞り出している言葉を繋ぐと
”息が出来なくて苦しい”
である。
すごい勢いで駆けつけたところ
布団の上で胸を抑え顎をあげた状態で苦しんでおり
唇が紫色であった。
「息ができなくて」
と母はなんとか声を絞り出していた。
救急車を呼んだところ幸いにも近所の厚生病院へ搬送された。
「まだ状態が分からないので心臓の先生に来てもらいます」等々
幾つかあった医者の報告はどれも親切であった。
2時間ほど過ぎたら状態が落ち着いた。
お医者さんと看護師さんには感謝感謝である。
「精神的に混乱して点滴を抜く可能性があるので手をミトンで覆っています」
と看護師さんから報告。
私は父の時にも経験があった事なので理解できた。
「苦しいの取れて良かったね、あのね、状態が落ち着くまでは手袋をしておくそうだからね、ちょっと我慢だね」
顔を覗き込んで母に伝えると
小さく頷いた。
死ぬほどの苦しさから解放されて安心した様子に見えた。
生きるのに弱気な気持ちは
新しい朝が来たら一旦リセットだ。